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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第1章 腎疾患患者への薬の使い方
1.IgA腎症:扁摘ステロイドパルス療法
IgA nephropathy:tonsillectomy combined with steroid pulse therapy
森山 能仁
1
Moriyama Takahito
1
1東京医科大学腎臓内科
キーワード:
IgA腎症
,
扁摘パルス
,
Multi Hit Mechanism
,
Gd-IgA1
,
April
Keyword:
IgA腎症
,
扁摘パルス
,
Multi Hit Mechanism
,
Gd-IgA1
,
April
pp.22-26
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002099
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1 はじめに
IgA腎症が,1968年にフランスの病理学者Jean Bergerらにより報告1)されてからもうすぐ60年が経過する。1980年代まで予後良好といわれていたIgA腎症だが,1990年代になり発見から20年が経過し長期腎生存率が判明すると,20年の腎生存率は60%前後と報告され2,3),必ずしも予後が良好ではないことが明確となった。それから進行抑制のためにステロイド治療4,5)や免疫抑制薬6),扁桃摘出術(扁摘)7,8),レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬9~11),fish oil12),抗血小板薬13)など,さまざまな治療が報告されてきた。現在,日本では扁摘+ステロイドパルス療法(扁摘パルス)が標準的な治療とされ多くの施設で行われ14,15),扁摘はKidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)ガイドライン2012では「行わないことが望ましい」と記載されていたが,2021年の改訂版では「日本人では考慮」となり,現在改訂中の最新版では「尿所見の寛解に寄与する治療であることが日本の多施設から報告されており,日本のガイドラインで推奨されている」ことが記載され,推奨されない治療から日本では推奨される効果的な治療へと,世界における認識はこの10数年で少し変わってきている。

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