Japanese
English
特集 CKD-MBD ―進歩と革新
CKD-MBDの病態
腸内細菌叢のバランス異常と腸管リン吸収
Gut microbiota dysbiosis and intestinal phosphate absorption
永野 伸郎
1
NAGANO Nobuo
1
1医療法人社団日高会日高病院腎臓病治療センター/学術研究センター
キーワード:
腸内細菌叢
,
dysbiosis
,
腸管リン吸収
,
活性生菌製剤
,
短鎖脂肪酸
Keyword:
腸内細菌叢
,
dysbiosis
,
腸管リン吸収
,
活性生菌製剤
,
短鎖脂肪酸
pp.555-560
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001864
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はじめに
ヒト成人の消化管内には,約1,000種類の細菌が約100兆個生息しており,総重量で1~1.5 kgにもなる腸内細菌叢(腸内フローラ)を形成している。透析患者の腸内では,いわゆる善玉菌が減少するとともに悪玉菌が増加しており,腸内細菌叢のバランス異常(dysbiosis)が生じている。これまでに,腸内細菌がミネラル代謝に及ぼす影響に関して多くの研究がなされてきたが,その多くはカルシウム(Ca)や鉄代謝の検討であり,残念ながらリン代謝に関しては知見に乏しい1)。腸内細菌は摂取したリンの一部を取り込み蓄えるため,宿主のリン代謝にも影響すると考えられるが,dysbiosis状態に陥った際の影響はことさら不明であり,特定の介入で得られた結果に基づく考察に頼らざるをえない。本稿では,dysbiosisが透析患者の高リン血症の一因となっている可能性を論じる。

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