特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
1.総論(2)小児期の腸内細菌叢の形成
赤川 翔平
1,2
,
金子 一成
1
1関西医科大学小児科学講座
2関西医科大学附属病院アレルギーセンター
キーワード:
腸内細菌叢
,
dysbiosis
,
短鎖脂肪酸
,
プロバイオティクス
,
プレバイオティクス
Keyword:
腸内細菌叢
,
dysbiosis
,
短鎖脂肪酸
,
プロバイオティクス
,
プレバイオティクス
pp.1319-1325
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003644
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ヒトの腸内では約38兆個の細菌が細菌叢を形成しており,宿主であるヒトと共生し,ヒトの健康維持に重要な役割を果たしている.ヒトの腸内細菌叢は,分娩様式や栄養方法,抗菌薬使用やその他のさまざまな環境因子の影響を受けながら,3歳頃までに成人型の腸内細菌叢へと変化する.分娩様式は児の腸内細菌叢の初期コロニーの形成に重要な影響を及ぼし,母乳栄養はビフィズス菌優位の腸内細菌叢形成に重要な役割を果たす.そして離乳食の開始により腸内細菌叢はさらに多様化し成人型の腸内細菌叢に近づいていく.出生から3歳頃までに生じた腸内細菌叢の質的・量的な異常(dysbiosis)は成人期まで移行することがわかっており,この時期の腸内細菌叢をより良い状態に保つことが生涯の健康維持に重要である.

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