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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
II.各論1:糸球体疾患(診断と治療)
4.巣状分節性糸球体硬化症:成人
Focal Segmental Glomerulosclerosis:Adults
和田 健彦
1
Wada Takehiko
1
1虎の門病院腎センター内科
キーワード:
巣状分節性糸球体硬化症
,
微小変化群
,
ポドサイト病
,
抗ネフリン抗体
Keyword:
巣状分節性糸球体硬化症
,
微小変化群
,
ポドサイト病
,
抗ネフリン抗体
pp.80-86
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001578
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1 はじめに:巣状分節性糸球体硬化症
「巣状分節性糸球体硬化症」(focal segmental glomerulosclerosis:FSGS)という病名は元来,一部の糸球体で(巣状),一部の糸球体係蹄が傷害される(分節性)という病理組織学的な用語に由来している。したがって,さまざまな病態を内包する臨床病理学的な疾患群を表すと考えるべきである。このなかで,一次性FSGSはしばしば難治性ネフローゼ症候群をきたすことが知られているが,その病態には何らかの液性因子が関与していると考えられている。また,薬剤やウイルス感染などさまざまな原因により発症する二次性FSGSに加えて,さまざまな遺伝子異常によるポドサイト障害を基盤として発症する遺伝性FSGSは,遺伝学的解析の進歩とともに頻度が高いことが明らかになり,その重要性を増している(表)。一次性FSGSは微小変化群(minimal change disease:MCD)と類似した臨床像を呈することが多く,さらにその病変の主座が糸球体足細胞(ポドサイト)であることから,FSGSとMCDをまとめて「ポドサイト病」と捉える考え方もある。両者の病態の異同についてはまだ結論が出ていないが,後述するように,近年では糸球体濾過障壁の主要分子であるネフリンに対する自己抗体の関与が共通の病態機序として提唱されている。
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