Japanese
English
特集 「糸球体上皮細胞学」の最新知見
総論
腎オルガノイドと糸球体足細胞(ポドサイト)
Podocytes in kidney organoids
吉村 仁宏
1
,
西中村 隆一
2
YOSHIMURA Yasuhiro
1
,
NISHINAKAMURA Ryuichi
2
1千葉大学大学院医学研究院腎臓内科学
2熊本大学発生医学研究所腎臓発生分野
キーワード:
ポドサイト
,
腎オルガノイド
,
誘導ポドサイト
,
疾患モデリング
,
マイクロ流体デバイス
Keyword:
ポドサイト
,
腎オルガノイド
,
誘導ポドサイト
,
疾患モデリング
,
マイクロ流体デバイス
pp.286-292
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001797
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
オルガノイド(organoid)とは,「臓器(organ)のような(-oid)」を語源にもつ三次元組織モデルを指す。オルガノイドはヒト細胞から作製可能で,生体に近い組織構造,分子の発現,局在を備えている。そのため,よりin vivoに近いin vitro実験ツールとして,すでに世界中で活用されている。オルガノイドは大きく分けて,組織幹細胞由来のものと,iPS細胞やES細胞といった多能性幹細胞から作製されるものが存在する。腎臓においては組織幹細胞が同定されていないため,腎オルガノイドは多能性幹細胞から生体の発生過程に沿った分化誘導によって作製される。腎オルガノイド内の糸球体には糸球体足細胞(ポドサイト)が含まれており,近年の研究でその詳細な分子プロファイルが明らかにされ,糸球体疾患のモデリングも行われている。また,実験手法の進歩として,選択的なポドサイト誘導,腎被膜下へのオルガノイド移植,さらにはマイクロ流体デバイスとの融合などが報告されている(図1)。本稿では,これら腎オルガノイドを用いたポドサイトに関する代表的な研究を紹介し,今後の展望と課題について考察する。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.