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特集 「糸球体上皮細胞学」の最新知見
総論
糸球体足細胞(ポドサイト)の培養細胞モデル
Cell culture models for podocyte research
吉村 仁宏
1
,
淺沼 克彦
1
YOSHIMURA Yasuhiro
1
,
ASANUMA Katsuhiko
1
1千葉大学大学院医学研究院腎臓内科学
キーワード:
ポドサイト
,
初代培養
,
不死化細胞株
,
マイクロ流体デバイス
Keyword:
ポドサイト
,
初代培養
,
不死化細胞株
,
マイクロ流体デバイス
pp.281-285
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001796
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はじめに
生命科学の研究において,培養細胞を用いたin vitro実験は,生体内(in vivo)で生じる現象や得られた知見を検証する手法として古くから活用されてきた。培養細胞において目的の分子の発現を制御することで,その分子の機能や関連する分子との相互作用を詳細に検討することができる。また,細胞周囲の環境や薬剤濃度の厳密な調整など,in vivoでは制御が困難な条件を設定し,細胞の反応性を介入下で経時的に解析することも可能である。糸球体足細胞(ポドサイト)においても,糸球体疾患をはじめとしたin vivoの病態を詳細に検証するために,初代培養法の確立や不死化ポドサイト細胞株の樹立が行われ,ポドサイトの細胞生物学研究は大きく前進した。また近年では,培養ポドサイトをマイクロ流体デバイスに応用し,糸球体濾過を模倣するための研究も進んでいる。本稿では,これらポドサイトの培養細胞モデルの開発の経緯を概説するとともに,現状の課題と今後の展望について論じる。

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