IgA腎症におけるポドサイト障害

Podocytopathy in IgA nephropathy

はじめに

　ポドサイトは，糸球体の構成細胞として最外層に位置し，足突起の規則的な噛み合わせ構造と，その間に濾過障壁（スリット膜）を構築することで，血清蛋白の漏出を防いでいる。ポドサイトが障害されると，スリット膜の分子構造の変化，ポドサイトの細胞骨格の分布変化をきたし，足突起の噛み合わせ構造の消失と濾過障壁崩壊により蛋白尿が生じ，慢性腎臓病（CKD）が進展する。また，ポドサイトは終末分化細胞であるため，ポドサイト障害によるアポトーシス，ポドサイトの糸球体基底膜からの脱落は，糸球体硬化からCKDの進行に至る。ポドサイト障害から糸球体硬化への進展は，IgA腎症に限らず，あらゆる糸球体疾患においてCKD進行に陥る病態の共通事象であり，ポドサイト障害は，IgA腎症においても蛋白尿，腎予後，治療への反応性に関連している^1）。