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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
VII.各論6:腎不全と腎代替療法(診断と治療)
1.急性腎障害の診断と治療
Acute kidney injury:diagnosis and treatment
岡田 圭一郎
1
,
古市 賢吾
1
Okada Keiichiro
1
,
Furuichi Kengo
1
1金沢医科大学腎臓内科学
キーワード:
Acute kidney injury
,
KDIGO
,
バイオマーカー
Keyword:
Acute kidney injury
,
KDIGO
,
バイオマーカー
pp.590-595
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001670
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1 はじめに
急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は急激な腎機能低下と臓器障害を呈する症候群であり,血清クレアチニン(serum creatinine:sCr)の変化および尿量で診断される。また,AKIはさまざまな臨床の場面で合併し,予後を有意に悪化させることが知られている。AKIは入院患者2%程度に認め,重症度の高い集中治療室(intensive care unit:ICU)入室患者では60%以上に認められるとの報告もある頻度の高い病態である1,2)。またAKIで入院した患者は非AKI患者と比して退院後の死亡率は約3倍との報告もある3)。そのため,早期にAKIを診断し,適切なタイミングで治療介入を行うことが患者の予後改善には重要である。現在,診断においては複数の新規バイオマーカーが開発,臨床応用され,治療においても数多くの基礎研究で得られた成果の一部が臨床の場で検証されている。AKIは,可逆的な病態と考えられていたが,現在は長期的には慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の発症・進展のリスク因子であることも認識されるようになっている。このように,AKI診療においては予後改善を得るために解決すべき課題があり,さらなる研究成果が期待される。
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