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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
V.各論4:血管系疾患における腎病変(診断と治療)
6.顕微鏡的多発血管炎
Microscopic polyangiitis
坪井 直毅
1
Tsuboi Naotake
1
1藤田医科大学医学部腎臓内科学
キーワード:
ANCA
,
好中球ミエロペルオキシダーゼ
,
急速進行性糸球体腎炎
,
半月体
,
補体
Keyword:
ANCA
,
好中球ミエロペルオキシダーゼ
,
急速進行性糸球体腎炎
,
半月体
,
補体
pp.373-377
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001632
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1 はじめに
顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は,主に小血管(毛細血管,細静脈,細動脈,小動脈)を傷害部位とする免疫複合体沈着がほとんどない壊死性血管炎であり,肉芽腫を認めないものをいう1)。血液中に抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)を高率に検出するが,特に好中球ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)に対するANCAの頻度が高く,わが国のMPA患者のほぼ全例(98.5%)で陽性となる。またANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)を対象とした「ANCA関連血管炎・急速進行性糸球体腎炎の寛解導入治療の現状とその有効性と安全性に関する観察研究(RemIT-JAV-RPGN)」では,わが国ではAAVの6割以上をMPAが占め,平均発症年齢70歳と高齢発症例が多いことが示されている2)。一方,欧米では多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)の頻度がMPAより高く,国内外での疫学的な差異が存在する。
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