Japanese
English
特集 Genetics in CKD
疾患編
Fabry病
Fabry disease
酒巻 裕一
1
,
山本 卓
2
,
伊藤 由美
2
,
成田 一衛
2
SAKAMAKI Yuichi
1
,
YAMAMOTO Suguru
2
,
ITO Yumi
2
,
NARITA Ichiei
2
1新潟県立新発田病院腎臓内科
2新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎・膠原病内科学分野
キーワード:
Fabry病
,
α-galactosidases
,
酵素補充療法
Keyword:
Fabry病
,
α-galactosidases
,
酵素補充療法
pp.424-429
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000659
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はじめに
Fabry病はX連鎖性遺伝性疾患であり,1898年にともに皮膚科医であるJohanes FabryとWilliam Andersonによってそれぞれ報告された。Fabry病はライソゾーム病の1つで,α-galactosidase遺伝子(GLA)変異による先天性代謝異常症である1~3)。ライソゾームは細胞内の物質分解を主な役割とする細胞内器官であり,さまざまな加水分解酵素を有するが,ライソゾーム病では酵素・蛋白をコードする遺伝子異常により,その酵素活性が低下ないし欠損する。その結果,酵素が分解すべき基質が全身のさまざまな臓器に蓄積し,発症に至る。Fabry病ではα-galactosidase(α-GAL)酵素活性が低下し,その基質であるglobotriaosylceramide(Gb3)などの糖脂質が,全身の主に血管内皮細胞,心筋細胞,腎糸球体・尿細管上皮細胞,神経節細胞などに蓄積する。その結果,進行性の臓器障害をきたすが,それぞれの臨床症状は多様でかつ非特異的でもある。また,Fabry病はX連鎖性遺伝性疾患だが,男性(ヘミ接合体)のみならず,GLA変異アレルを一方のX染色体にもつ女性(ヘテロ接合体)にも症状が出現し,症例ごとに多様な臨床像をとる(図1)4)。Fabry病の自然史は,男性古典型において55歳までに末期腎不全に至り60歳までに死亡する2,5)。一般住民の寿命と比較し,男性で25年,女性で10年,短縮するとされる2,6)。
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