今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床
リンパ組織の主な病気
単一クローン性免疫グロブリン異常症
河合 忠
1
1自治医大臨床病理学
pp.1247-1249
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206738
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
形質細胞とそれに類縁のリンパ性細胞で合成される蛋白が免疫グロブリン(Ig)である.Igは抗体活性をもつ唯一の蛋白で,H鎖とL鎖とからなる特有な化学構造をもっている,すなわち,図1に示すように,H鎖1対とL鎖1対が互いにS-S結合で連結してIgの分子単位を形成している.H鎖のN末端側の4分の1とL鎖N末端側の2分の1は可変部とよび,抗体活性基の特異性に関与している.しかも,H鎖の抗原性の違いからIgG,IgA,IgM,IgD,IgEの5つのクラスに分けられており,それぞれのクラスはさらにL鎖の違いからK型(κ鎖をもつもの)とL型(λ鎖をもつもの)に分けられている.したがって,正常の血清中には表1に示すような10種類の免疫グロブリン分子が混在していることになる.しかも,H鎖のさらにこまかな抗原性の違いによって,γ鎖は4つのサブクラスに分けられ,α,μ鎖には2つのサブクラスの存在が知られている.それぞれの種類のIgは多クローン性を示し,電気泳動法で分画すると幅広い領域に泳動されるのが特徴である.それは可変部のアミノ酸組成のわずかな違いによって生ずる.
多くのクローンのIg産生細胞が増殖すると,多クローン性高γグロブリン血症Polyclonal hypergammaglobulinemiaの所見がみられる.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.