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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
II.各論1:糸球体疾患(診断と治療)
9.一次性膜性増殖性糸球体腎炎
Primary membranoproliferative glomerulonephritis
岩崎 沙理
1
,
長田 道夫
2
Iwasaki Sari
1
,
Nagata Michio
2
1北海道大学大学院医学研究院統合病理学教室
2板橋中央総合病院病理診断科
キーワード:
membranoproliferative glomerulonephritis
,
C3 glomerulopathy
,
immune complex-mediated MPGN
Keyword:
membranoproliferative glomerulonephritis
,
C3 glomerulopathy
,
immune complex-mediated MPGN
pp.110-116
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001583
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1 はじめに
一次性膜性増殖性糸球体腎炎とは
膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)とは,光学顕微鏡で観察される糸球体の障害パターンの1つであり,“membrano”は糸球体係蹄基底膜(glomerular basement membrane:GBM)の肥厚,“proliferative”はメサンギウム細胞増多を意味する。MPGNは元来,低補体血症と膜性増殖性病変を特徴とする小児の糸球体腎炎の疾患概念であったが,その後複数の疾患にも類似する形態像をみることがわかり,糸球体障害パターンとして認識されるようになった。成書には二次性MPGNとして70以上の疾患が挙げられている(表)1)。頻度が高いものは感染や自己免疫性疾患である。C3腎症の概念が提唱されてからは,当初一次性あるいは特発性とされた小児MPGNの多くがC3腎症と診断されるようになり,MPGNが一次性(あるいはimmune-complex MPGN of unknown etiology)と判断されるが,現実的には,小児や若年成人の免疫複合体関連MPGN以外には,一次性MPGNの頻度は低下している。
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