増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
4章 凝固
組織液中の組織因子(TF)の混入による凝固時間を用いた検査への影響
松本 智子
1
,
下村 大樹
2
1天理医療大学医療学部臨床検査学科
2公益財団法人天理よろづ相談所病院臨床検査部
キーワード:
組織因子
,
TF
,
凝固時間短縮
,
採血
Keyword:
組織因子
,
TF
,
凝固時間短縮
,
採血
pp.1264-1266
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203151
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はじめに
生体内における凝固の引き金は血管壁が損傷し,血液が組織液中の組織因子(tissue factor:TF)と混ざることである.TFは血液が直接接する血管内皮や心内膜や赤血球には存在せず,血管外膜,心筋,表皮,大脳皮質,消化管粘膜などに存在する1).一方,TFが混入した血液検体では凝固検査に大きく影響する.これは診断や治療が変わってしまうため,検査結果の解釈に注意すべきである.
本稿では,TF混入の影響について凝固時間を測定する検査を中心に概説する.
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