Japanese
English
特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅲ.尿細管・間質性・囊胞性疾患
4.IgG4関連腎臓病
IgG4-related kidney disease
川野 充弘
1
Kawano Mitsuhiro
1
1金沢大学リウマチ・膠原病内科学講座
キーワード:
IgG4
,
尿細管間質性腎炎
,
低補体血症
,
花筵状線維化
,
形質細胞
Keyword:
IgG4
,
尿細管間質性腎炎
,
低補体血症
,
花筵状線維化
,
形質細胞
pp.112-117
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001008
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1 病因・病態
Immunoglobulin G4 (IgG4)関連疾患は,高齢男性に好発し,全身のあらゆる臓器に腫瘤性病変を起こし得る原因不明の慢性炎症性疾患である1, 2)。気管支喘息などのアレルギー疾患を合併する頻度が高く,好酸球増多や血清IgE(immunoglobulin E)高値を認めることが多い3)。糖質コルチコイド(以下,ステロイド)が著効するが,約30%の患者に再燃を認めることから,ステロイドの維持療法が中止できない症例が存在する1, 2)。侵される臓器によって多彩な臨床像をとるが,好発臓器は涙腺,唾液腺,膵臓,腎臓ならびに後腹膜の5臓器であり,一般的には無症状か非常に軽度の臨床症状であることが多い。特に腎病変をもつ症例においては,活動期に著しい低補体血症を高頻度に伴うため,全身性エリテマトーデスとの鑑別が重要である4)。いずれの病変部でも,著明なIgG4陽性形質細胞の浸潤を特徴とするリンパ球・形質細胞浸潤による炎症を認めるという特徴がある4~6)。
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