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特集 腎疾患における臨床研究の進歩
【臨床研究の最新手法】
ブートストラップ法
Bootstrap method
吉田 寿子
1
YOSHIDA Hisako
1
1大阪公立大学大学院 医療統計学
キーワード:
ブートストラップ
,
リサンプリング
Keyword:
ブートストラップ
,
リサンプリング
pp.329-334
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000287
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はじめに
われわれが臨床研究の解析で用いる「統計的推測」の基本的な考え方では,母集団が何らかの分布(例えば正規分布)に従っているという前提で,観察されたデータをその分布に近似させることによって,推測や誤差の評価を行っている。一方で,1979年にEfron1)が,複雑な理論や数式に基づく解析を,計算機を用いた大量の反復計算で置き換えて実行するというブートストラップ法(bootstrap method)を提唱した。ブートストラップ法は,従来の統計学的推測よりも緩やかな仮定のもとで,複雑な推測論の問題に適用できる柔軟な統計手法とされている2)。実際は,統計ソフトを使ってデータ解析を行ったことのある研究者であっても,まだあまりなじみのないものかもしれない。Efronが提唱して以降の発展の過程を含め,理論的な背景については汪らの解説が詳細かつわかりやすい3,4)。とはいえ,理論の理解を必ずしも必要としない研究者にとっては少し難解ともいえる。そこで本稿では,ブートストラップ法の概要をやさしく説明することに重きを置き,実際の適用例についてもいくつかの腎臓・透析関連の論文を引用しながら解説してみたい。
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