Japanese
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特集 IgA腎症―最新の知見
【進展・増悪にかかわる因子】
補体活性―レクチン経路の関与
Complement activation―the contribution of lectin pathway in IgA nephropathy
大澤 勲
1
OHSAWA Isao
1
1埼友草加病院
キーワード:
レクチン経路
,
mannose-binding lectin(MBL)
,
ficolin
,
MBL-associated serine protease(MASP)
Keyword:
レクチン経路
,
mannose-binding lectin(MBL)
,
ficolin
,
MBL-associated serine protease(MASP)
pp.986-992
発行日 2022年6月25日
Published Date 2022/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000199
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はじめに
補体系は自然免疫系の1つである。要となるC3類似の分子は発生学的に古い原索動物のマボヤや棘皮動物のウニなどにも存在しており,生物の進化の過程でいくつかの機能をもった分子が出現し,その遺伝子のスプライシングやデュプリケーションにより,ヒトではおよそ30個の分子が補体系を形成している。IgA腎症(IgAN)は,その発症起点や進展のメカニズムが不均質な病態群の総称と考えられる。しかし,本来生体を防御するはずの補体が自らの腎臓を攻撃するという点は共通の特徴であろう。補体の活性経路は大きく分けて3つの経路とそれらに続いて収束する経路より成り立っている(図1)1)。健常時の補体系は血液中と自己の細胞表面にある補体の活性化を抑制する機構(制御因子)により活性化と制御のバランスをとっている。最近の検討では前半の経路同士が途中で連携されることもわかってきており,本稿では最初に補体の全体像を概説した後にIgANの病態における補体の関与について解説していく。
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