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特集 予防医学からみた腎疾患診療
【CKDの発症・進展と合併症のリスクとされるエビデンス】
血圧 高血圧・正常高値血圧の定義の変遷とその背景因子
Changes in the definition of hypertension/elevated blood pressure and its background factors
平和 伸仁
1
HIRAWA Nobuhito
1
1横浜市立大学附属市民総合医療センター 腎臓・高血圧内科
キーワード:
高血圧
,
正常血圧
,
定義
,
ガイドライン
Keyword:
高血圧
,
正常血圧
,
定義
,
ガイドライン
pp.809-814
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000163
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はじめに
高血圧は,脳心血管病(CVD)死亡に与える影響が最も大きいリスク因子である。特に,40~64歳の中壮年者においては,120/80mmHgを超える血圧者は,それ未満の正常血圧者と比較してCVD死亡ハザード比が有意に高くなることが示されている。また,すべての人が120/80mmHg未満であったとすると,CVD死亡の60%が予防できたと推測されている。このように年齢・性別や人種などのサブ解析も含めて,血圧値によるCVDリスクが明らかになるとともに,血圧値の分類が提唱されるようになってきた。また,高血圧の定義や降圧目標も,これらの疫学的データや降圧治療の介入研究の結果などから,さまざまな国において独自に決定されている。2019年に日本高血圧学会では,『高血圧治療ガイドライン2019』を作成し公表した。高血圧の診断基準を140/90mmHg以上と定義しているのは,140/90mmHg以上の患者に対する降圧治療が予後を改善するというエビデンスが明らかであることが大きな理由である。このようにエビデンスの蓄積により,高血圧の基準や降圧目標が変更されている。
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