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Volume 92, Issue 3 （March 2022）

腎と透析 92巻3号（2022年3月発行）

Japanese English

特集 Onco-nephrology：悪性腫瘍治療と腎機能障害

【抗がん薬・抗悪性腫瘍治療による腎機能障害】

薬剤性腎機能障害の定義 Definition of drug-induced kidney injury 宮本佳尚 ^1,2 , 土井研人 ³ MIYAMOTO Yoshihisa ^1,2 , DOI Kent ³ ¹国立がん研究センターがん対策研究所 ²国立がん研究センター中央病院総合内科（腎臓内科） ³東京大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学キーワード：臨床病型 , causality assessment tool Keyword: 臨床病型 , causality assessment tool pp.579-583

発行日 2022年3月25日 Published Date 2022/3/25

DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000112

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参考文献 Reference

Ⅰ 薬剤性腎障害の一般的定義とその限界

　『薬剤性腎障害診療ガイドライン2016』では，薬剤性腎障害は「薬剤の投与により，新たに発症した腎障害，あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」と定義される^1）。同ガイドラインでは，① 該当する薬剤の投与後に新たに発生した腎障害であること，② 該当薬剤の中止により腎障害の消失・進行の停止を認めること，という条件に加えて，③ 「ほかの原因が否定できる」ことを薬剤性腎障害の診断の要件としている。しかしながら，これらの3つの基準のみで，薬剤性腎障害の診断を行うのは困難な場合もある。その背景として，下記のような問題がありうる。