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特集 MGRS―血液内科との連携
【トピックス】
MGRSに対する血漿交換療法
Plasmapheresis in patients with MGRS
川邊 万佑子
1
,
山本 泉
1
KAWABE Mayuko
1
,
YAMAMOTO Izumi
1
1東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
キーワード:
monoclonal gammopathy of renal significance
,
plasmapheresis
Keyword:
monoclonal gammopathy of renal significance
,
plasmapheresis
pp.467-471
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000088
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はじめに
Multiple myeloma(MM)の前段階とされるmonoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)は,MMへの進行率が1%/年と緩徐であり,治療適応はないとされてきた。その後,MGUSで腎生検を実施した症例の2.5%にM蛋白の沈着や腎障害を呈する症例が確認され,2012年にInternational Kidney and Monoclonal Gammopathy Research Group(IKMG)は,monoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)を提唱した1)。その後,IKMGは2019年にMGRSの範囲を拡張し,治療適応ではないB細胞あるいは形質細胞増殖性疾患を含有する概念に改訂した2)。MGRSは,いずれの原疾患にしても,M蛋白は血清/尿ともに微量で,腫瘍量よりも,M蛋白自体のもつユニークな化学的特性が腎障害に関与すると考えられる。したがって,MGRSの治療戦略は,① M蛋白の減少および除去だけでなく,② inflammatory pathwayの阻害,③ エンドサイトーシスの阻害,など多岐にわたるが,主要な治療戦略は,適切な化学療法によるM蛋白の減少である。MMに比べて腫瘍量の少ないMGRSにおいて,血漿交換療法によるM蛋白除去の有用性に関する検証はほとんどないため,血漿交換療法が登場する可能性は今のところ高くないと想定される。
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