今月の主題 腎疾患診療のトピックス
その他の治療法
血漿交換療法
雨宮 秀博
1
Hidehiro Amamiya
1
1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター・内科
pp.1616-1617
発行日 1982年9月10日
Published Date 1982/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217925
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1975年,LockwoodらによりGoodpasture症候群に対し血漿交換療法(Plasma Exchange,以下PEx)が行われ,これを契機として種々の腎炎にPExが試みられるようになった.この背景にはPEx施行に必要な血漿蛋白製剤や連続的血漿分離装置などの技術的進歩とともに,腎炎の免疫学的な発症機序に関する研究の進展が重要な役割りを果たしている.現在,腎疾患の多くは,腎糸球体基底膜抗体または尿細管基底膜抗体により惹起される腎炎と,免疫複合体(Immune Complex,以下IC)により生ずる腎炎とに大別されている.前者は,Goodpasture症候群,後者はループス腎炎がその代表的な疾患である.これらの抗体やICを除去できれば,理論的には腎炎の発症,進展を予防することが可能となろう.さらに,腎炎の進展には補体系や凝固系,その他の血中に存在する炎症促進因子の関与も考えられており,PExはこれらの物質をも除去低下させうるため,その効果が注目されている.
本項ではPExの効果発現機序,腎疾患における成績などについて概略する.
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