Li-Fraumeni症候群

Li-Fraumeni syndrome

はじめに

　遺伝性腫瘍症候群の代表的疾患であるLi-Fraumeni症候群（LFS）に発症する腫瘍は乳癌，脳腫瘍，軟部肉腫，骨肉腫，副腎皮質癌などが主であるが，それ以外にもさまざまな腫瘍を発症し，消化管腫瘍も稀ではない。近年はがんゲノム医療を受けた進行癌患者がLFSと診断され，その血縁者が発症前遺伝学的検査を受けてLFSと診断される可能性もあり，内視鏡サーベイランスによる早期診断も重要性を増している。LFSに特異的な内視鏡所見はない。本稿では，LFSの概要と，随伴する消化管腫瘍の頻度や発症年齢，消化管のマネージメントについて概説する。