SSBE由来Barrett食道腺癌のESD―鎮静したら食道裂孔が開かず病変すら確認できない

ESD for adenocarcinoma arising from SSBE; What if the esophageal hiatus does not open and the lesion cannot be identified when sedated?

はじめに

　本邦では比較的稀とされてきたBarrett食道腺癌（Barrett’s esophageal adenocarcinoma：BEA）は，Helicobacter pylori（H. pylori）菌感染率の低下や食生活の欧米化に伴い，緩徐な増加傾向が報告されている^{1, 2）}。欧米ではBEAの多くはlong segment Barrett’s esophagus（LSBE）由来だが，本邦ではshort segment Barrett’s esophagus（SSBE）由来が大部分を占める。内視鏡診療の普及に伴い，他の消化管癌と同様BEAも早期癌の状態で発見されることが多く，おもな治療法は内視鏡的切除となる。とりわけESDは，病変を一括切除し，詳細な病理組織学的評価が行えるという利点から本邦における内視鏡治療の主流となっている。