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はじめに:ESD適応拡大した食道扁平上皮癌の問題点
日本食道学会の『食道癌診療ガイドライン2022年版 第5版』1)では,内視鏡治療(endoscopic treatment:ER)を施行した脈管侵襲陽性(lympho-vascular invasion:LVI+),pMMもしくはpT1b-SM(pSM)に,外科切除または化学放射線療法(chemo-radio therapy:CRT)を推奨している。最近報告されたERを施行したcN0pMM/SM1 992例の多施設共同研究2)でも,LVIとpSM1が転移再発の独立した危険因子で,追加治療で予後が改善したことが報告されている。しかし,実臨床では既往症や全身状態から,転移リスクのある症例すべてに追加治療を行うことは難しく,経過観察を選択することも多い。また,すべての追加治療例に転移があるわけではなく,CRTを追加しても照射野内にリンパ節転移(lymph node metastasis:LNM)が存在するとも限らず,治療後も厳重な再発診断が求められる。一方,日本消化器内視鏡学会の『食道癌に対するESD/EMRガイドライン』3)では,ERを施行したLy0,V0,pMMに対する追加治療は推奨が決められなかった。これは,Ly0,V0,pMMの経過観察例を文献検索して集計したところ5.6%の再発率であったこと,LVIの評価は標本の切り出し方,免疫染色の有無で変わる可能性があり,経過観察の方法も各施設で定まっておらず,経過観察が不十分なケースも含まれるため,実際にはもっと再発例が多い可能性があること,その反面,追加治療にもデメリットがあることに起因している。また,CTによる経過観察では再発が根治不能な状態で発見される報告も多く4, 5),いかにすれば根治可能なレベルでLNMを発見できるか,経過観察方法が臨床上重要なポイントである。これまでの再発例の発見経緯と治療経過を参照することでその方法を検証する。
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