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特集 基礎から学ぶ 咽頭・食道内視鏡診断
[咽喉頭・食道の逆流性食道炎および運動障害の診断]
食道運動障害の拾い上げと発見後の対応
Identification and management of esophageal motility disorders
島村 勇人
1
,
井上 晴洋
1
,
田中 一平
1
,
牛久保 慧
1
,
山本 和輝
1
,
田邊 万葉
1
,
西川 洋平
1
Yuto Shimamura
1
,
Haruhiro Inoue
1
,
Ippei Tanaka
1
,
Kei Ushikubo
1
,
Kazuki Yamamoto
1
,
Mayo Tanabe
1
,
Yohei Nishikawa
1
1昭和大学江東豊洲病院消化器センター
キーワード:
食道運動障害
,
食道アカラシア
,
食道内圧検査
Keyword:
食道運動障害
,
食道アカラシア
,
食道内圧検査
pp.127-134
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001834
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はじめに
「つかえ感」や「胸痛」といった前胸部症状は食道運動障害に特異的なものではなく,食道癌をはじめとする器質的疾患,急性冠症候群,逆流性食道炎などでも同様に認められる。これらの症状は日常診療でよく遭遇し,患者の生活の質を著しく低下させる。必要十分な検査を行ったあと,器質的な病変が確認されない場合には,食道運動障害の可能性を考慮する。実臨床では,壁外からの悪性腫瘍によって食道狭窄が引き起こされ,食道アカラシアに類似した症状を呈することがあり,これは偽性アカラシアと呼ばれる。この可能性を念頭におき,CT検査を実施することも推奨される。原因不明の症状が持続する場合,さまざまな病態を考慮しつつ精査を進め,器質的病変がないことをもって「異常なし」と判断すべきではない。近年,高解像度食道内圧検査(high-resolution manometry:HRM)の普及により,食道運動障害へのアプローチが大きく進展している。さらに,診断に応じて治療法が異なることから,正確な診断の重要性が一層増している。また,機能性疾患に対する内視鏡的評価も可能となり,内視鏡的内圧測定統合システム(endoscopic pressure integrated system:EPSIS)という新しい検査法の導入により,食道アカラシアの診断において有用な手段となっている。本稿では,食道運動障害の検出方法と発見後のアプローチについて詳述する。
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