Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅲ.その他
憩室,先天性形成不全
十二指腸膜様狭窄症
Duodenal web
高木 泰介
1
,
井手 麻友美
1
,
小島 洋平
1
,
鶴見 賢直
1
,
橋本 佳和
1
,
大木 亜津子
1
,
竹内 弘久
1
,
阪本 良弘
1
,
須並 英二
1
,
阿部 展次
1
Taisuke Takagi
1
,
Mayumi Ide
1
,
Yohei Kojima
1
,
Masanao Tsurumi
1
,
Yoshikazu Hashimoto
1
,
Atsuko Ohki
1
,
Hirohisa Takeuchi
1
,
Yoshihiro Sakamoto
1
,
Eiji Sunami
1
,
Nobutsugu Abe
1
1杏林大学医学部消化器・一般外科
キーワード:
十二指腸膜様狭窄
,
十二指腸閉塞
,
十二指腸内憩室
Keyword:
十二指腸膜様狭窄
,
十二指腸閉塞
,
十二指腸内憩室
pp.662-663
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001410
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疾患の概要
先天性十二指腸膜様狭窄症は稀な疾患であり十二指腸に形成された膜様物(web)が存在するが,小孔(orifice)によって口側と肛門側腸管の交通が保たれていることが特徴である。発生頻度は9,000~40,000人に1人であり1),発生原因は胎生期12週ごろに起きる十二指腸生理的閉塞の再開通障害とされている2)。十二指腸膜様狭窄症は幼児期以前に診断されることが多いが,約30%は成人期に診断される3)。新生児症例では平坦なwebがみられるが,成人症例のwebは長い年月をかけて蠕動の圧力により囊状に拡張して肛門側腸管の内腔に突出しており,その形状が吹き流し(windsock)に似ていることからwindsock型と呼ばれている3, 4)。Webは83%が乳頭部付近に存在し,7%が本例のように複数(最大5個)存在し,orificeの開口部は35%がwebの中心にあり65%が偏在している4)。なお,類似した疾患概念として十二指腸内憩室(intraluminal duodenal diverticulum:IDD)がある。IDDは全周性(funnel type)と非全周性(pocket type)に大別されるが,全周性IDDは十二指腸膜様狭窄症と同一であると考えられている5)。臨床症状は,食後の腹部膨満感,反復性嘔吐,腹痛,体重減少などである。治療は,外科的治療による十二指腸形成を伴う膜切除が標準術式であるが,近年ではダイヤモンド吻合術や腹腔鏡下および内視鏡下によるwebの切除や切開も行われている3, 4)。いずれの治療法においても,Vater乳頭の位置を確実に確認して損傷しないことが重要である。
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