Japanese
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特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
治療行為に伴う粘膜傷害
低用量アスピリンによる粘膜傷害
Low dose aspirin (LDA)-induced enteropathy
貝瀬 満
1
,
藤森 俊二
1
,
岩切 勝彦
1
Mitsuru Kaise
1
,
Shunji Fujimori
1
,
Katsuhiko Iwakiri
1
1日本医科大学消化器内科学
キーワード:
低用量アスピリン
,
粘膜傷害
,
消化性潰瘍
Keyword:
低用量アスピリン
,
粘膜傷害
,
消化性潰瘍
pp.628-629
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001394
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疾患の概要
低用量アスピリン(low-dose aspirin:LDA)は虚血性心疾患や脳血管障害の抗血小板療法として高齢者を中心に約500万人が内服している1)。血中アスピリンのCOX阻害作用とアスピリン吸収粘膜局所作用によって粘膜傷害を生じる。小腸で吸収される腸溶錠(バイアスピリンⓇ)と胃で吸収される制酸緩衝錠(バファリン配合錠A81Ⓡ)では,粘膜傷害プロファイルが異なる2)。胃粘膜傷害は緩衝錠に多く,小腸粘膜傷害は腸溶錠に多いとされている3)。一方,消化管出血リスクは両剤形で有意差がないと報告されている4)。プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)による非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drug:NSAID)小腸粘膜傷害増悪が注目されているが,LDA小腸粘膜傷害の増悪については否定的な報告もある。LDA消化性潰瘍の治療・予防にはPPIが有効であり,PPIによるLDA小腸粘膜傷害増悪の真偽は不明だがPPIが推奨される。小腸粘膜傷害にはミソプロストールやレバミピドなどが一定の効果をあげる。
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