Japanese
English
特集 十二指腸・小腸疾患アトラス
Ⅱ.炎症性疾患
自己免疫疾患・膠原病・血管炎など
セリアック病
Celiac disease
村上 敬
1
,
樺 映志
1
,
北條 麻理子
1
,
八尾 隆史
2
,
永原 章仁
1
Takashi Murakami
1
,
Eiji Kamba
1
,
Mariko Hojo
1
,
Takashi Yao
2
,
Akihito Nagahara
1
1順天堂大学消化器内科
2順天堂大学人体病理病態学講座
キーワード:
セリアック病
,
絨毛萎縮
,
グルテン
Keyword:
セリアック病
,
絨毛萎縮
,
グルテン
pp.620-621
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000001390
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
疾患の概要
セリアック病は小麦などに含まれるグルテンにより引き起こされる自己免疫類似疾患で,蛋白漏出性胃腸症を呈する1)。グルテンに含まれるグリアジンに対してIgE非依存性に消化管に慢性炎症をきたすことが病態で,小麦アレルギーとは異なる。典型例では十二指腸を主体とした慢性炎症と絨毛萎縮がみられ,胃や大腸には病変を認めない。下痢や腹痛といった臨床症状はグルテン含有食で増悪し,グルテン除去食で改善する。地域性あるいは人種間の格差がみられ,欧米では罹患率0.2~1%の疾患であるのに対し,有色人種の罹患率はきわめて低い2)。本疾患はhuman leukocyte antigen(HLA)クラスⅡ遺伝子DQ2とDQ8と強い関連があるが,日本人はそれら遺伝子を保有する頻度は低く,欧米とは遺伝的背景が異なると考えられている3)。欧米ではセリアック病のスクリーニングとして慢性下痢症を有する患者に対して,血清学的に抗グリアジンIgA抗体や抗組織トランスグルタミナーゼIgA抗体,抗脱アミド化グリアジン関連ペプチドIgA・IgG抗体,抗平滑筋抗体,あるいは抗筋内膜抗体などが測定され,その感度・特異度はともに高いとされる一方で4),本邦の患者ではこれら抗体が検出されることは少ない3)。治療はグルテン除去食による食事療法が唯一の有効な方法である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.