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はじめに
2012年にNational Polyp Studyの長期予後の結果が報告され,内視鏡で発見されたポリープを切除することにより大腸癌死亡を減らせることが明らかとなり,より積極的にポリープ切除をとる意義が意識されるようになった。ただし当時は通電するポリペクトミー(hot polypectomy)が主流であり,また,まだまだ入院での治療が主であったので,大変だなあと思ったのを覚えている。しかしながら,同じ2012年にRepici らが通電をしないポリペクトミー(cold polypectomy)の安全性を多施設研究で報告1)し,その後cold revolutionと呼ばれるような,cold polypectomyが急速に広まる大きなパラダイムシフトが起こった。今や欧米のガイドラインでは標準治療として推奨しており,日本のガイドラインでも選択肢の一つとしてあげられる治療法となった。ここ10年で小さなポリープに対する内視鏡治療は大きく様変わりし,外来での治療を導入する施設も多くなった。筆者自身,cold snare polypectomy(CSP)を導入するまでは発見されたポリープすべてを切除するのは時間もかかるしリスクを考えると現実的ではないと感じており,5mm未満のポリープは切除しないで経過観察するのが妥当であろう,と考えていた。医療はすべてそうだが治療のデメリットとメリットを天秤にかけ介入の是非を考える。CSPはそのバランスを大きく変えた治療であり,その出現によって治療の方針が大きく変わった。筆者ももちろん,今では毎日のようにCSPを行っている。本稿では,そのパラダイムシフトの核となったCSPのコツと参照すべき成績について,解説する。
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