Japanese
English
特集 胃良性疾患の近未来
[機能性疾患]
機能性ディスペプシア
Functional dyspepsia
島村 勇人
1
,
山本 和輝
1
,
田中 一平
1
,
井上 晴洋
1
Yuto Shimamura
1
,
Kazuki Yamamoto
1
,
Ippei Tanaka
1
,
Haruhiro Inoue
1
1昭和大学江東豊洲病院消化器センター
キーワード:
機能性消化管疾患
,
機能内視鏡検査
,
消化管運動機能改善薬
Keyword:
機能性消化管疾患
,
機能内視鏡検査
,
消化管運動機能改善薬
pp.992-997
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000828
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Ⅰ.機能性ディスペプシアの定義・疫学
機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)とは,症状の原因となる器質的,全身的,代謝性疾患がないのにもかかわらず,心窩部痛や胃もたれなど心窩部を中心とした腹部症状が慢性的に出現する疾患である。FDの診断に最も頻用されているのが,2016年に改訂されたRome Ⅳ基準である。この基準では,「症状を説明できそうな器質的,全身性,代謝性疾患がないにもかかわらず,食後膨満感,早期満腹感,心窩部痛,心窩部灼熱感の4つの症状のうち1つ以上を有するもので,6カ月以上前にこれらの症状を経験し,しかも3カ月間この症状が続いているもの」と定義している。4つの症状のうち食後膨満感と早期満腹感を有するものを食後愁訴症候群(postprandial distress syndrome:PDS),心窩部痛と心窩部灼熱感を有するものを心窩部痛症候群(epigastric pain syndrome:EPS)と称している。PDSの場合,週3日以上症状がある場合,EPSの場合は,週1日以上症状がある場合を,症状のある週として定義している。しかし,実際には,症状は多種多様であり,Rome Ⅳ基準で定義されている4つの症状以外も多く存在する。そのため,日本では,症状の特徴や程度,その他の要因を総合的に評価し,ディスペプシア症状かどうかを判断することが推奨されている1)。また,Helicobacter pylori感染によるディスペプシア症状はFDではなく,H. pylori関連ディスペプシアと診断され,別の疾患であると考えられている。
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