特集 機能性消化管疾患―診療UPDATE
3.機能性消化管疾患理解のための注目の視点(2)機能性消化管疾患と腸内細菌叢の変異
福居 顕文
1
,
髙木 智久
2
,
北江 博晃
2
,
鎌田 和浩
2
,
内藤 裕二
2
1京都府立医科大学附属北部医療センター消化器内科
2京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
機能性消化管疾患
,
脳-腸-腸内細菌叢
,
粘膜関連細菌叢
Keyword:
機能性消化管疾患
,
脳-腸-腸内細菌叢
,
粘膜関連細菌叢
pp.545-551
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001764
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
次世代シーケンサーの登場により,腸内細菌叢解析は大きな転換を果たした.近年,機能性消化管疾患(FGIDs)の病態として脳-腸-腸内細菌叢(brain-gut-microbiota)の概念が注目されている.腸管バリア維持機構が全身臓器と密接な相互関係のなかで,免疫・炎症応答に関与していることが明らかになり,FGIDsの発症や症状の進展に腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)の関与が指摘されているが,その全貌は未だ明らかでない.消化管バリア維持機構を評価するうえで,おもに粘液層に存在する粘膜関連細菌叢(MAM)ならびに粘液内の代謝物の解析と上皮細胞の相互作用の解明が重要視されている.MAMと腸管バリア維持機構破綻・免疫応答との関連を明らかにし,MAMのdysbiosisの改善を標的とした新たな視点でのFGIDs治療開拓が望まれる.
Copyright © 2021, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.