Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease: GERD)の治療における第一選択は酸分泌抑制薬を軸とした薬物療法や生活指導であるが,一定数の薬剤抵抗例/依存例が存在する。難治性GERD症例では食道裂孔ヘルニアの合併が多くみられ,その解剖学的異常の修復を目的として外科的噴門形成術であるNissen法やToupet法が行われる。しかしこれら手術療法には,侵襲性の面で薬物療法との大きなギャップがあることが問題である。このため1990年頃より欧米を中心に,より低侵襲で効果的な治療法として内視鏡治療の可能性が模索されてきたが,医療経済性(コスト面)や長期効果,安全性などの問題もあり,一般化した治療法は存在しなかった。そこで当院では従来から使用されている手技・デバイスを応用したGERDに対する低侵襲内視鏡治療として,2014年にanti-reflux mucosectomy(ARMS)を報告した1)。ARMSは,噴門部胃側の粘膜切除を行い,瘢痕収縮による噴門の粘膜唇再形成を目的とした治療であり,2022年4月よりendoscopic submucosal dissection for GERD(ESDG法)2)とともに「内視鏡的逆流防止粘膜切除術」として保険適用となった。一方で anti-reflux mucosal ablation(ARMA)3)はARMSの知見をもとに,粘膜切除を粘膜「焼灼(ablation)」に置き換えたものである。ARMAではアルゴンプラズマ凝固法(APC)を用いて粘膜を焼灼することにより粘膜切除と同等の効果が得られ,短時間で処置を行うことができ,かつ再治療が可能であるというメリットがある。本稿ではGERDに対する内視鏡治療であるARMSおよびARMAについて詳述する。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.