特集 咳、痰のみかた
咳と痰の原因となる疾患とは
GERDによる慢性咳嗽の病態と治療
竹村 昌也
1
Masaya TAKEMURA
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科呼吸器・免疫アレルギー内科学
キーワード:
胃食道逆流症
,
慢性咳嗽
,
診断
,
治療
Keyword:
胃食道逆流症
,
慢性咳嗽
,
診断
,
治療
pp.1181-1185
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika121_1181
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Summary
▪胃食道逆流症(GERD)の定型的症状である胸灼け,おくびのほか,非定型症状として胸痛,嗄声,咳などがある.
▪GERDによる慢性咳嗽は,欧米では頻度は高く,本邦ではまれとされてきたが,近年増加傾向にある.
▪GERD症状を呈する患者の上部消化管内視鏡による食道粘膜所見は,その多くが非びらん性である.
▪GERDによる咳の治療前診断にはGERDに特徴的な病歴や問診が参考になる.また,咳喘息など他の慢性咳嗽疾患にGERDによる咳がしばしば合併することがあり,咳が逆流を惹起あるいは悪化させて悪循環を招く可能性が示唆されている.
▪GERDによる咳の治療には,そのリスク因子の回避とともにプロトンポンプ阻害薬(PPI)が第一選択となる.改善が乏しい場合は消化管運動改善薬と併用する症例もしばしば存在する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018