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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅳ. びまん性病変
1. びまん性炎症性病変
薬剤関連胃粘膜病変―ランタン沈着症―
Lanthanum deposition in the stomach
岩室 雅也
1
,
田中 健大
2
Masaya IWAMURO
1
,
Takehiro TANAKA
2
1岡山大学学術研究院医歯薬学域 消化器・肝臓内科
2岡山大学学術研究院医歯薬学域 病理学(腫瘍病理/第二病理)
キーワード:
炭酸ランタン
,
慢性腎不全
,
透析
Keyword:
炭酸ランタン
,
慢性腎不全
,
透析
pp.268-269
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000446
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疾患の概要
炭酸ランタン(ホスレノール®)は血清リン値を低下させる薬剤であり,慢性腎臓病患者,特に透析患者における高リン血症の改善に用いられる。副作用として嘔吐や悪心,便秘が5%以上の頻度でみられるとされるが,一般的には忍容性が高い薬剤である。内視鏡検査における胃・十二指腸粘膜へのランタン沈着は2015年に初めて報告された。生検ではHE染色で微細な顆粒状から針状,または塊状など,不定形の好酸性沈着物が見られる。電子顕微鏡による元素分析ではランタンとともにリンが検出されること,CD68染色では沈着物に一致して陽性を示すことから,マクロファージに貪食されたリン酸ランタンが消化管粘膜内に存在すると考えられている。胃・十二指腸粘膜にランタンが沈着すると,内視鏡では白色の色調変化として観察される1)。この白色病変はNBI (Narrow Band Imaging)観察やBLI(Blue LASER Imaging)観察で識別が容易となる。
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