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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅲ. 陥凹を呈する病変
1. 上皮性・非腫瘍性陥凹病変
Crohn病の胃病変
Crohn’s disease
久野木 健仁
1
,
盛一 健太郎
1
,
藤谷 幹浩
1
Takehito KUNOGI
1
,
Kentaro MORIICHI
1
,
Mikihiro FUJIYA
1
1旭川医科大学内科学講座病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学分野
キーワード:
Crohn病
,
胃病変
,
竹の節様外観
Keyword:
Crohn病
,
胃病変
,
竹の節様外観
pp.206-207
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000419
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疾患の概要
Crohn病(CD)は全消化管に非連続性の炎症や潰瘍をきたす原因不明の疾患である。腸管の縦走潰瘍,敷石状外観や狭窄,肛門病変に伴い腹痛,発熱,下痢,血便,腸閉塞といった多彩な症状を呈するため,その診断には病変の特徴を理解しておく必要がある。本邦のCrohn病診断基準の副所見の一つに「特徴的な胃・十二指腸病変」があげられている。CDの胃病変には竹の節様外観(Bamboo-joint like appearance:BJA),Helicobacter pylori(H.pylori)陰性難治性胃潰瘍,アフタ様びらんなどがあり,その頻度は24〜73%と報告されている1)。なかでもBJAは胃噴門部から胃体中部小彎の皺襞を規則正しく横切る浅い陥凹でCDに特徴的であり2),インジゴカルミン散布による強調観察が検出に有用である。BJAの感度,特異度はそれぞれ38.3%,97.9%とされ1,3),CD診断において大変重要である。その他,非萎縮粘膜に治療抵抗性潰瘍や前庭部のアフタ様びらんも特異的ではないもののCDにおいてはしばしば認められる所見である。CDの上部消化管病変の病理学的特徴としてリンパ球集簇や浮腫を高頻度に認める。非乾酪性肉芽腫の検出率は14.3〜45.5%であるが1),BJAの陥凹部からの生検は検出率が高いとされる。また,近年ではリンパ球と好中球,組織球が局部に集簇する炎症性変化であるfocally enhanced gastritisは胃病変の初期像の可能性が指摘されており,注目すべき所見である。
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