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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅱ. 平坦な病変
早期胃癌(0-Ⅱb,発赤調,分化型腺癌)
Early cancer (Type 0-Ⅱb, reddish: differentiated adenocarcinoma)
有馬 美和子
1
,
都宮 美華
2
,
井下 尚子
3
Miwako ARIMA
1
,
Mika TSUNOMIYA
2
,
Naoko INOSHITA
3
1上尾中央総合病院消化器内科
2埼玉県立がんセンター内視鏡科
3埼玉県立がんセンター病理診断科
キーワード:
平坦発赤型胃癌
,
いわゆる手つなぎ癌
,
EBウイルス関連胃癌
Keyword:
平坦発赤型胃癌
,
いわゆる手つなぎ癌
,
EBウイルス関連胃癌
pp.162-163
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000400
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疾患の概要
「胃癌取扱い規約第15版」で0-Ⅱb型(表面平坦型)胃癌は,「正常粘膜にみられる凹凸を超えるほどの隆起・陥凹が認められないもの」と定義される。分化型腺癌は腸上皮化生を伴う粘膜を背景として発生するが,Helicobacter pylori(H.pylori)既感染胃癌は隆起型が減少して平坦,陥凹型が多くなり,陥凹がより浅くなる1)。H.pylori除菌後胃癌は前庭部や胃体部に生じる地図状発赤や斑状発赤に類似し,存在・範囲ともわかりにくい場合がある。この原因として,表層に非腫瘍性上皮が被覆,混在することがあげられる2)。また,いわゆる手つなぎ型胃癌も境界不鮮明な淡発赤を示すことが多い3)。いわゆる手つなぎ型胃癌は,異型が弱く腸上皮化生腺管に類似した癌腺管が粘膜中層で不規則に分岐・癒合して横に広がるため,粘膜の高低差が生じにくいとされている。一方,ESDを行った早期胃癌にEpstein-Barr virus-encoded small RNAs(EBER)in situ hybridization(ISH)染色を行い,1.9%が陽性(EBウイルス関連胃癌)で,EBER-ISH陰性胃癌に比べて有意に病変の色調が赤かったことが報告されている4)。病理組織像の特徴として,粘膜内で不規則に癌腺管が癒合し,中分化型管状腺癌(tub2)の手つなぎ様形態を示すlace pattern5)があり,血管新生も増加していることが赤い色調を示す要因と考えられる。
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