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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
3. 非上皮性隆起病変
A. 腫瘍性非上皮性病変
胃濾胞性リンパ腫
Follicular lymphoma
恩田 毅
1
,
貝瀬 満
1
,
寺﨑 泰弘
2
Takeshi ONDA
1
,
Mitsuru KAISE
1
,
Yasuhiro TERASAKI
2
1日本医科大学消化器内科学
2日本医科大学付属病院病理部・解析人体病理学
キーワード:
胃濾胞性リンパ腫
,
粘膜下腫瘍
Keyword:
胃濾胞性リンパ腫
,
粘膜下腫瘍
pp.126-127
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000385
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疾患の概要
消化管悪性リンパ腫の病型はMALTリンパ腫とびまん性大細胞性B細胞リンパ腫(diff use large B-cell lymphoma:DLBCL)が70~80%を占め,濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)は数パーセントとされている1)。消化管FLの好発部位は十二指腸であり,胃では稀である1,2)。2017年に改訂されたFLのWHO分類では新たに「十二指腸型」という病型が加えられ,胃を含めた他の腸管FLとの関連も指摘されている3)。FLは70~95%にBCL2/IGH遺伝子異常を呈し,組織学的にはBCL2蛋白の異常発現を伴うB細胞が濾胞を形成する4)。消化管FLは節性FLと比較して低悪性の頻度が高いとされているが,胃FLは十二指腸FLに比較してLugano国際分類stageⅠ,Ⅱの割合が低く(胃28%,十二指腸53%),WHO組織学的悪性度grade3(胃33%,十二指腸11%)の割合が高いとの報告もあるため注意が必要である2)。また,消化管FLは無症候性に偶発的に発見されることが多く,その特徴をあらかじめ把握しておく必要がある。内視鏡所見については,①1~2mmの多発白色顆粒状隆起,②数ミリメートルから1cm前後の多発結節状/ポリープ状,③数センチメートルの塊状(潰瘍あり/なし)に分類したところ,①②が大多数であったと報告されている4)。粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)様の隆起を呈することもあり,生検や穿刺吸引細胞診でも診断が困難な場合には,診断的治療として内視鏡治療や外科的切除が選択されることもある。
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