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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
2. 上皮性・腫瘍性隆起病変
C. 広基性隆起
転移性胃癌
Gastric metastasis of malignancy of other organs(protruding)
魚住 健志
1
,
阿部 清一郎
1
,
関根 茂樹
2
Takeshi UOZUMI
1
,
Seiichiro ABE
1
,
Shigeki SEKINE
2
1国立がん研究センター中央病院内視鏡科
2国立がん研究センター中央病院病理診断科
キーワード:
肺癌
,
乳癌
,
食道癌
,
悪性黒色腫
Keyword:
肺癌
,
乳癌
,
食道癌
,
悪性黒色腫
pp.94-95
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000369
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疾患の概要
悪性腫瘍剖検例を対象とした検討では,転移性胃癌は1.7〜5.4%に認めたと報告されているが,生存期間中に診断に至る症例は限られており,稀な疾患とされている1,2)。しかし,近年では化学療法の進歩による生存期間の延長に伴い,生存期間中に診断される症例に遭遇する機会も実臨床において増えてきた。原発巣としては肺癌,乳癌,食道癌,悪性黒色腫が多く,稀な原発巣としては腎細胞癌や大腸癌などがあげられる1)。転移性胃癌の内視鏡的特徴としては,胃体上部から胃体中部の大彎側に好発し,60%は単発病変である。粘膜下腫瘍様の隆起を呈し,中心部に陥凹を伴ういわゆる牛眼像(bull’s eye appearance)が転移性胃癌の典型として知られているが,一方で転移性胃癌の40%は原発性胃癌に類似した形態とされており,多彩な肉眼形態を呈することに注意が必要である1)。原発巣の診断から転移性胃癌発見までの期間の中央値は16カ月,転移性胃癌と診断後の生存期間の中央値は4.8カ月と報告されており,予後は不良である3)。
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