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特集 症例から学ぶ胃ESD―改訂ガイドラインwith and beyond―
[各論 痛恨の症例から学ぶ]
抗血栓薬継続症例における難治性後出血の症例
Refractory delayed bleeding associated with gastric ESD for a case on unsuspended antithrombotic therapy
内藤 咲貴子
1
,
福澤 誠克
1
,
糸井 隆夫
1
Sakiko Naito
1
,
Masakatsu Fukuzawa
1
,
Takao Itoi
1
1東京医科大学臨床医学系消化器内科学分野
キーワード:
後出血
,
抗血栓薬
,
内視鏡治療
Keyword:
後出血
,
抗血栓薬
,
内視鏡治療
pp.1200-1205
発行日 2022年7月25日
Published Date 2022/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000257
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はじめに
早期胃癌に対する内視鏡治療は,外科的治療と比較して有害事象の発生率が低く,また胃を温存しつつ病変の摘除ができることから,術後のQOLを高めることができる。さらに,入院期間も短いため費用面を考慮しても有用な低侵襲治療法である。2021年に胃癌治療ガイドライン1)が改訂され,内視鏡治療の絶対適応病変の治療範囲が拡大し,相対適応病変も患者背景を加味した治療戦略が提唱された。高齢化社会とともに健診の普及も加わり高齢者の早期胃癌症例も増加している。また,H. pylori(Helicobacter pylori)総除菌時代に突入し,除菌の推奨により若年者層では感染者数が減少しているものの高齢者層では依然として多い。高齢者は併存疾患有病率や抗血栓薬内服率も高率であることから内視鏡治療時,治療後の有害事象の増加が懸念されるが,その有害事象の発生予防を術前に検討することは非常に重要である。抗血栓薬内服により術中・術後の出血リスクが高まるが,治療難渋症例においては,治療時間が長時間となることで鎮静薬の使用量も増え,誤嚥性肺炎や循環動態不全となるリスクも高まる。特にPS(performance status)不良症例では,偶発症により術後に予期しえない経過を辿ることもあるため,併存疾患有病率が高い高齢者に対しては,有害事象の発生予防とともに,治療の是非を含めた十分な検討が重要である。
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