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特集 内視鏡データリファレンスブック2022
【臓器別】
咽頭・食道
食道癌化学放射線療法後の再発に対する光線力学的療法
Photodynamic therapy for esophageal cancer after the failure of chemoradiotherapy
矢野 友規
1
Tomonori YANO
1
1国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科
キーワード:
食道癌
,
光線力学療法
,
レーザー治療
Keyword:
食道癌
,
光線力学療法
,
レーザー治療
pp.599-604
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000139
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Ⅰ 治療の概要
光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)は,腫瘍親和性光感受性物質(photosensitizer:PS)とPSの吸収波長に特化した励起レーザーを用いた,癌に対する治療方法の一つである。消化管癌に対しては内視鏡を通じて癌部にレーザーを照射するため,内視鏡治療の一つと位置づけられる。PDTは,レーザー治療ではあるがレーザー自体は低出力のレーザーで抗腫瘍効果はなく,PSとレーザーの反応なくしては効果が得られない。PDTはエンドサイトーシスなどで腫瘍細胞内に取り込まれた光感受性物質がレーザー光に励起されることで,活性酸素などの発生,微小血管塞栓作用,急性炎症などによって細胞死が引き起こされると報告されている1)。本邦で開発されたタラポルフィンナトリウム(レザフィリンⓇ,Meiji Seikaファルマ社)(図1)は,植物由来のクロリンをベースにした光感受性物質であり,ポルフィリンをベースとした第一世代PSと比べると体外へのクリアランスが速く投与後の遮光期間を短くすることができる。タラポルフィンナトリウムを用いた第二世代PDTは,2015年に化学放射線療法後または放射線療法後遺残再発食道癌に対する薬機承認ののち,保険適用が得られ日常臨床に導入されている。
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