特集 胃癌診療のパラダイムシフト
総論 日本人のH.pylori感染率変化・高齢化に伴う胃癌のパラダイムシフト
榊 信廣
1
1早期胃癌検診協会
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃腫瘍
,
加齢
,
危険因子
,
抗細菌剤
,
腫瘍侵入性
,
多剤併用療法
,
発生率
,
除菌療法
,
発癌
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Stomach Neoplasms
,
Aging
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Incidence
,
Neoplasm Invasiveness
,
Risk Factors
,
Carcinogenesis
pp.1073-1081
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021295039
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大きく変化した日本人の胃癌、すなわち胃癌のパラダイムシフトを、H.pylori感染率低下と高齢人口増加の両面から考察した。胃癌の年齢調整罹患率は年々低下しているが、日本人全体の胃癌罹患数は増加している。前者は出生年別H.pylori感染率の経年低下および除菌治療の普及が関与し、後者には高齢人口の急激な増加が関係している。自施設での最近10年の胃癌発見率はH.pylori現感染者1%、既感染者0.5%であった。この結果からもH.pylori除菌の胃癌抑制効果は認められる。しかし、除菌後患者の増加のために既感染胃癌発見数は年々増加している。一方、未感染者でも0.06%に胃癌が診断された。内視鏡診断においては、診断困難な既感染胃癌および特異的な未感染胃癌に注意する必要がある。
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