特集 食道の炎症を視る
総論 食道の炎症と癌化のメカニズム Barrett食道癌とアカラシア合併食道癌を中心に
千野 修
1
,
葉梨 智子
,
山本 壮一郎
,
西 隆之
,
小柳 和夫
,
島田 英雄
,
小澤 壯治
,
今井 裕
,
幕内 博康
1東海大学医学部付属東京病院 外科
キーワード:
Barrett食道
,
危険因子
,
食道アカラシア
,
食道鏡法
,
食道腫瘍
,
腺癌
,
発癌
Keyword:
Barrett Esophagus
,
Esophageal Achalasia
,
Esophagoscopy
,
Adenocarcinoma
,
Esophageal Neoplasms
,
Risk Factors
,
Carcinogenesis
pp.1141-1152
発行日 2019年8月25日
Published Date 2019/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019338459
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食道における慢性炎症と発癌の関係性が指摘されており、本稿ではBarrett食道癌とアカラシア合併食道癌について概説する。食道胃逆流症により胃酸や胆汁酸が食道内に逆流して食道炎と円柱上皮化生が生じ、Barrett食道が発生する。またBarrett食道癌については、腸上皮化生からの発癌と噴門腺粘膜からの発癌が考えられている。一方、食道アカラシアの癌化には粘膜の過形成、異形成発現といった病理組織学的変化が関連していて、長期通過障害に伴う持続性炎症に起因した粘膜の過形成性変化を背景とする発癌が考えられる。いずれも慢性炎症を基盤としたdysplasia-carcinoma sequenceが関与していると考えられている。Barrett食道とアカラシアは臨床病理学的にも発癌のリスク因子である。癌腫の早期発見と根治的治療のためには、病態を理解したうえでの定期的かつ長期的な内視鏡的経過観察が必要である。
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