特集 酸分泌抑制薬の功罪
食道 PPIと好酸球性食道炎
石村 典久
1
,
沖本 英子
,
柴垣 広太郎
,
石原 俊治
1島根大学医学部附属病院 消化器内科
キーワード:
胃食道逆流
,
再発
,
食道鏡法
,
治療成績
,
Proton Pump Inhibitors
,
食道炎-好酸球性
,
寛解維持療法
,
長期投与
,
病態生理
Keyword:
Esophagoscopy
,
Gastroesophageal Reflux
,
Treatment Outcome
,
Recurrence
,
Maintenance Chemotherapy
,
Proton Pump Inhibitors
,
Eosinophilic Esophagitis
pp.1132-1140
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376632
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本邦において好酸球性食道炎は、近年成人例での有病率が増加している慢性アレルギー疾患である。以前はプロトンポンプ阻害薬(PPI)治療に反応しない食道好酸球浸潤例のみが好酸球性食道炎と診断されていた。しかし、その後の多数のエビデンスの蓄積に伴うガイドラインの改訂によって、PPIの反応性は診断基準から除外され、現在ではPPIは好酸球性食道炎の第一選択薬と位置づけられている。好酸球性食道炎では縦走溝、リング状変化、白色滲出物といった特徴的な内視鏡像を示し、逆流性食道炎に認められる粘膜傷害とは異なる特徴が認められる。好酸球性食道炎の6~7割はPPI投与によって症状や組織学的炎症が改善するが、投与量や投与期間に関するエビデンスは少ない。PPIの治療効果に関連する所見としてAnkylosaurus back signと呼ばれる内視鏡像や下部限局型が報告されている。PPIの長期治療効果についての検討は少なく、PPI維持治療中に再燃する症例もあることから、内視鏡および病理検査による定期的な治療効果の確認が必要である。
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