特集 臨床医に必要な対策型胃内視鏡検診の知識
現感染・既感染・未感染胃がんの年度別発見率からみたH.pylori除菌治療の胃内視鏡検診に及ぼす影響
榊 信廣
1
,
下井 銘子
,
中島 寛隆
1早期胃癌検診協会
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
胃粘膜
,
抗細菌剤
,
集団検診
,
多剤併用療法
,
除菌療法
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Drug Therapy, Combination
,
Stomach Neoplasms
,
Mass Screening
,
Gastric Mucosa
,
Gastroscopy
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
pp.1818-1822
発行日 2019年12月25日
Published Date 2019/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020105044
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胃炎除菌保険認可前後の2010年度から2018年度まで隔年で、検診症例のH.pylori感染状況および現感染、既感染、未感染胃粘膜別の胃がん発見率の推移について後ろ向きに調査した。2010~2018年度の現感染者は46.2%から6.8%と減少したのに対して、既感染者は10.9%から32.4%へ、未感染者は42.9%から60.8%へ増加した。現感染者の胃がん発見率は2010年度1.11%、2012年度0.74%、2014年度1.07%、2016年度0.65%、2018年度1.07%と算出された。既往感染者の胃がん発見率はそれぞれ0.38%、0.49%、0.52%、0.22%、0.36%であった。一方、未感染者の胃がん発見率はそれぞれ0.05%、0.07%、0.07%、0.10%、0.07%であった。H.pylori既感染胃がん数は年々増加しているが発見率は変化なく、現感染者では約1%、既感染者では約0.4%、未感染者では約0.07%であった。H.pylori未感染者だけでなく既感染者でも増加している現状をふまえた対策型胃がん検診の構築が求められる。
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