症例
胎児期に生じた腸重積を契機として発症した先天性回腸閉鎖症の1例
上田 眞帆
1
,
世川 修
,
山口 隆介
,
山本 智子
1東京女子医科大学 医学部医学科
キーワード:
回腸疾患
,
超音波診断
,
腸重積症
,
腸閉鎖症
,
腹部X線診断
,
小腸切除
Keyword:
Ultrasonography
,
Intussusception
,
Ileal Diseases
,
Intestinal Atresia
,
Radiography, Abdominal
pp.341-344
発行日 2021年3月25日
Published Date 2021/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00645.2021211381
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症例は日齢0、男児で、37週時に近医での妊婦健診にて行われた胎児超音波検査で腸管の異常拡張を認め、37週4日に帝王切開術で出生した。腹部超音波検査では腹腔内に拡張した小腸を広範に認め、腸管内部には液体貯留を認めた。腹部X線写真では腸管ガス像の左方偏位、限局した小腸ガス像を認めた。原因不明の腸閉塞状態に対して日齢0に緊急手術を行った。腹部横切開にて開腹すると著明に拡張した小腸を広範に認め、回盲部Bauhin弁より36cm口側に離断型の回腸閉鎖を認めた。閉鎖部をよく観察すると、閉鎖部より肛門側の腸管は盲端部で陥凹して内反しており、腸重積の状態であった。さらに、閉鎖部より2cm肛門側の小腸に腫瘤を触知した。腸管を切開し内腔を確認すると、閉鎖部を起始部とする有茎性の小腸ポリープを認めた。術式はポリープを含めた病変腸管の部分切除を行い、双孔式人工肛門を造設して手術を終了した。術後経過は良好で、日齢3に抜管し、日齢7に経腸栄養を開始した。日齢45に人工肛門閉鎖術を行い、日齢71に退院した。術中に認めたポリープ様組織は微小な石灰化を伴っており、先端部にかけて壊死に陥っていた。変性や壊死のために壁組織の評価はHE染色だけでは困難であったが、マッソントリクローム染色と併せると固有筋層、粘膜筋板、粘膜層の正常構造が確認され、異形成は認めなかった。胃粘膜組織の迷入はなく、病理学的にも良性の小腸ポリープとして矛盾のない所見であった。
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