特集 赤血球造血のメカニズムとその異常 -最近の進歩-
7.赤血球膜とその異常
中西秀和
1
,
和田秀穂
2
Hidekazu Nakanishi
1
,
Hideho Wada
2
1川崎医科大学 総合内科学4 准教授
2川崎医科大学 血液内科学 教授
pp.1343-1351
発行日 2018年8月30日
Published Date 2018/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018091343
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日本人で最も頻度の高い先天性溶血性疾患は,赤血球膜異常症である。このうち,赤血球膜蛋白の異常に起因した膜異常症では,しばしばその疾患固有の赤血球形態異常を有しており,末梢血塗抹標本にて赤血球の形態を注意深く観察することは,有力な診断の手がかりとなる。遺伝性球状赤血球症(HS)では小型球状赤血球が,遺伝性楕円赤血球症(HE)では楕円赤血球(桿状型,卵円型)が,遺伝性有口赤血球症(HSt)では特徴的な口唇状の有口赤血球が認められる。治療としての脾摘は,患者に重大な不利益をもたらす場合があるため,疾患や重症度から適応の有無を判断する必要がある。