特集 リポ蛋白・脂質代謝と臨床検査
7 脂肪酸
2.血球膜の脂肪酸特に赤血球膜について
八幡 義人
1
,
橋本 正志
1
Yoshihito YAWATA
1
,
Masashi HASHIMOTO
1
1川崎医科大学内科
pp.1458-1464
発行日 1985年11月1日
Published Date 1985/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917556
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はじめに
血球膜の脂質組成およびその代謝系に関しては,最近,血小板膜脂質の研究が,血小板機能,特に凝集能との関連で注目されている.しかし,血球膜脂質に関する成績の主軸は,やはり赤血球膜のそれであり,本項では紙数の制限もあるので,対象を赤血球に限って述べることにする.
赤血球膜脂質組成の詳細については,成書1〜8)または優れた総説9〜12)に譲るが,全体としては,中性脂肪としてのコレステロール(特に遊離型:FC)と,リン脂質(phospholipids:PL)とから成り立っている.このうちPLについては,ホスファチジルコリン(phosphatidyl choline:PC),スフィンゴミエリン(sphingomyelin:SM),ホスファチジルセリン(phosphatidyl serine:PS),ホスファチジルエタノラミン(phosphatidyl ethanolamine:PE)が主で,これに少量の上記PLのlyso型リン脂質や,ホスファチジルイノシトール(phosphatidyl inositol:PI)が存在している.FCとPL以外ではホスファチジン酸(phosphatidic acid:PA),ポリグリセロールリン脂質(polyglycerol phospholipids)や糖脂質,プラスマローゲン(plasmalogen)なども認められる.組成比は表1に掲げたように,重量比でみるとFCが約1/3,残りがPLを主に2/3となっている.これをmol比でみると,FCとPLとはほぼ1:1となっているのがわかる.
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