特集 赤血球造血のメカニズムとその異常 -最近の進歩-
8.赤血球脱核とその異常
鵜生川久美
1
Kumi Ubukawa
1
1秋田大学大学院医学系研究科 血液・腎臓・膠原病内科学(第三内科)助教
pp.1353-1359
発行日 2018年8月30日
Published Date 2018/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018091353
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造血の最終段階で赤芽球が核を放出する現象を脱核という。哺乳類でのみ認め,脱核障害は主に赤芽球の無効造血を呈する。ASXL1遺伝子やTET遺伝子のmutationは造血器悪性腫瘍で出現し,赤芽球分化や脱核を障害する。また,先天性赤血球形成異常性貧血type Ⅳの患者では,末梢血中に有核赤血球を認める。脱核異常を示す血液疾患を手掛かりに,謎が多いヒトの脱核機序が近年,積極的に解明されつつある。