新しい赤血球の検査・2
赤血球膜の検査法
八幡 義人
1
1川崎医科大学・内科
pp.198-205
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914273
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
赤血球膜に関する検査法の多くはまだ研究室レベル1,2)にあり,試行錯誤により日々改良されているものが多い.この事実は,膜研究が赤血球領域のなかでも,ヘモグロビンや血球酵素関係における研究の進歩と比較して著しく遅れていることと表裏一体をなしている.その理由として以下の事実が考えられる.すなわち,①赤血球の膜成分の含量が細胞質のそれと比較して,著しく少量であり,②これら膜成分が,膜構造のなかで互いに立体的に配置されて初めて十分な機能を有すること,③膜成分,特に膜タンパクの可溶化に難点があったこと,などが主であろう.
以上の幾多の困難にもかかわらず,膜研究は着実に進展してきており,近い将来最も重要な分野の一つとなるであろう.赤血球膜研究の現状については紙面の都合上,総説3〜9)を参照されたい.以下,赤血球膜に関して,①細胞形態,②細胞のレオロジー(rheology),③膜輸送などの膜機能,④膜タンパク,⑤膜脂質,⑥膜酵素,⑦免疫学的特性,などに関する,現時点における検査法10〜12)について述べたい.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.