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多発性骨髄腫
河合 忠
1
1日大・臨床病理
pp.1646
発行日 1967年11月10日
Published Date 1967/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202002
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多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖をきたす疾患で,もつともしばしば血清中に異常免疫グロブリンが出現し,ときに尿中にBence Jones蛋白が検出される。血清および尿に出現する異常蛋白を検出するには,濾紙またはセルロース・アセテート電気泳動法による蛋白分画を行なう。もし異常免疫グロブリンが血清中にあると,電気泳動でα2からγ領域に幅狭い蛋白縞を観察することができる。ところが,血清中に出現する異常免疫グロブリンには5種類(γG,γA,γD,γEおよびγU)ある。それを鑑別するために免疫電気泳動法が必要である。これらの異常免疫グロブリンは腫瘍性に増殖している形質細胞でつくられるらしく,螢光抗体法を使つて観察することができる。
図1γG型骨髄腫患者血清の寒天ゲル免疫電気泳動像で,左端にあるγG沈降線の一部が特徴あるふくらみ(M-bow)を示し,γG型骨髄腫蛋自の存在が証明された。他のγAおよびγM免疫グロブリンの沈降線は認められない。このように,骨髄腫の場合,異常に増加している免疫グロブリン以外の正常免疫グロブリン以外の正常免疫グロブリンは反対に減少しているのがふつうである。
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