特集 疾患特異的iPS細胞を用いた病態研究と創薬
10.疾患特異的iPS細胞を用いた心筋症病態研究と創薬スクリーニング
宮川繁
1
,
肥後修一朗
2
,
澤芳樹
3
Shigeru Miyagawa
1
,
Shuichiro Higo
2
,
Yoshiki Sawa
3
1大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科 特任教授
2大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学
3大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科 教授
pp.403-408
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/5201803403
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心筋症を原因とした若年発症重症心不全の予後は極めて不良である。様々な治療法を行っても改善が見込めない場合は外科治療の適応となるが,その対象となりうる症例はごく一部に限られ,また,重篤な合併症を伴うことや永続的な免疫抑制治療が必要となる等,課題は多い。特発性心筋症に対する薬物治療においては,各疾患群の病態生理を解明し有効な薬剤を開発する必要があることから,特に疾患iPS細胞を用いた研究が有用であると思われる。筆者らは,心筋細胞,線維芽細胞,血管内皮細胞を混合した3次元心筋組織体を作製し,様々な薬剤に対する心筋組織の応答性について検討を行っている。本稿では,心筋症における疾患特異的iPS細胞研究の現状を報告し,iPS細胞を用いた創薬スクリーニングに関して自験例も含め解説する。